リスト博物館を見つけた話

始まりは散歩

リスト音楽院に通っているのだから、リスト博物館に行かなければ、、、と、リスト博物館の存在自体は知っていたものの、実際にどこにあるのかは知らなかったのです。

ところが、特に変わった道を行くでもなくいつものようにAndràssy út(アンドラーシ通り)を歩いていると、壁にリスト像が埋め込まれていることに気付きました!!
今までも何度も通ったことあるのに何故気づかなかった…

とまぁ、せっかく見つけたのだから中に入ろうとなったわけです。

リスト博物館は、リスト音楽院の旧校舎でもあり、今度旧校舎でのコンサートを見に行こうと思っていたこともあり、そのチケットを購入できる一石二鳥なチャンスだったのです。
まず第1の目的はコンサートのチケットを買うことだったので、扉を入ってすぐのところにいた警備員さんに教えてもらった通り、鞄をクロークに預け、階段を上がった1階(ハンガリーは0階からカウントする)へと行くと、小さな売店のようなスペースがありました。
そこでコンサートのチケットを学生料金で買い、その奥に見える博物館ゾーンへと足を踏み出したのです。



リストの生活感が垣間見える

リスト博物館(旧校舎)は、その昔実際にリストが暮らしていたお家だそうで、机や額、本棚など、当時のものを保存しているようです。

まず足を踏み入れて(正確には踏み入れる前から)見えるのが、こちらのピアノ
実際に使っていた楽器だそうですが、鍵盤数も今と同じく88鍵。このゴテゴテに装飾されてる感じ、いいですよね笑  弦も並行に張られていました。(現代のピアノは、小さいボディの中でも弦長を稼ぐため、中〜高音域の弦は低音側へ斜めに張られている)

ちなみに、めちゃくちゃマニアックな視点ですが、裏側が気になり覗き込んできました
この、木材全開な感じ、個人的には結構アツイんですが、マニアックすぎるのでこれ以上コメントは控えます笑


この部屋の左右にも部屋があり、左に進むと他にも楽器がたくさんありました。
中でもやはりピアノに注目せざるを得ませんよね
奥のはフルコンサイズでした。
手前はベーゼンドルファー。
リストがコンサートでピアノを弾くと壊れるのが普通だったのに、ベーゼンドルファーのピアノだけは壊れることがなかった
なんて逸話があるくらいなので勝手にテンションがあがっていたのですが、このベーゼンドルファー、赤茶色と黒っていうなんともお洒落な色合いをしてます!!
鍵盤数も83鍵?ほどで、現代のものよりは少ないです。が、中を見るとやはりこれも並行弦。
また、ダンパーが特徴的な形をしていることも興味をそそられました。残念ながらdon't touch pleaseだったのでどんな動きでどんな違いがあるのか、正確には分かりませんでしたが、けど、結構違う音するんだろうなぁ…



この奥のピアノの奥にも見えていますが、反対側の壁にはたくさんの肖像画が飾られていました。
楽譜やCD、チラシなどで何度も見たことがある有名なリストの絵。その実物は、大きくて、その絵や額からは歴史をまとった重厚感のあるオーラを感じました。

なんだか、黒が黒いんですよ
何言ってるのかよく分からないと思いますが笑笑


リストの生活感

先ほどの部屋に戻り逆側の1室には、重厚な背表紙のついた本がつまった本棚や、シルクハットとシャツや手袋、手紙、作曲メモのように、リストの生活感を感じるものが展示されていました。

中でも一番気になったのはこれ!
ベーゼンドルファーから贈られた《作曲机》だそうです。引き出しに3オクターブの小さな鍵盤が収納されています。今で言うmidiキーボードみたいな感じですよね笑笑

ピアノを作っているベーゼンドルファーが、リストだけのために、こういったものを考案しプレゼントした、っていうの、凄くアツい!!
あの偉人たちは、本当に生きてコミュニケーションを取っていたんだな、と彼らの存在をリアルに感じる瞬間でした。

リストの地

こうして、作曲家が生まれ育った環境が残っていて、今もこうしてその存在に想いを馳せることができる、というのを実際に体験するとやはりその重要性やロマンチックさにシビれます!

リスト博物館では、リストの存在に心が少し寄り添えたかな、とそんな気がした発見でした♪

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梨本卓幹

1995年長野県千曲市生まれ。東京音楽大学付属高等学校ピアノ演奏家コース、東京藝術大学音楽学部ピアノ科を卒業。その後ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽院に留学。ハンガリー料理に舌鼓をうちつつ、2020年に修士号、2021年にピアノ・ソリスト・ディプロマを取得。ソロもアンサンブルも大好き。2022年、1stアルバム『言の葉Music』を発売!!
公式HP→ https://officialweb.takumi-nashimoto.com/