梨本卓幹の留学日記

ピアニスト梨本卓幹によるリアルタイム留学譚!

2019-05-27

リスト音楽院受験譚〜演奏試験本番〜

リスト音楽院の受験シリーズ、今回は演奏試験の本番編です。

僕のとき(2018-19のゼメスターの受験)の受験課題は

・バロック作品
・古典派のソナタ
・自由曲

これらで45分ほどのプログラム

となっていて、僕は以下のように選びました。

・バロック作品
  J.S.Bach 平均律クラヴィーア曲集第2巻 第4番 Cis-moll BWV.873

・古典派のソナタ
  Beethoven ピアノ・ソナタ第23番 f-moll「熱情」 Op.57

・自由曲
  Chopin ピアノ・ソナタ第3番 b-moll Op.58

一応時間は45分くらい、というふうに書かれていましたが、だいたい55分くらいありますねこれ笑 ただ、受験ではそんなに弾きませんでした。人によっても若干のバラツキはありましたが、20分強というところでしょうか。

会場はリスト音楽院の小ホール「Solti Hall(ショルティ・ホール)」。このときは前日までにそれぞれ30分のステージリハーサルの時間が与えられたのですが、僕はというと、学校側の何かしらのハプニングによって前々日に組まれていたリハーサルが消し飛ばされまして、試験当日の朝8:00からのリハーサルとなったのでした。

※ホールリハーサルの他に、試験期間中は1日4時間グランドピアノのある部屋を使わせてもらえました。

試験が始まる前に受付をします。といっても「来たよー」と名前と曲目の確認をするだけです。その時点で演奏する順番がほぼわかります。(ほぼ、というのは棄権する人がいるから。)というか、その時点まで演奏順が分かりません。分かるのは試験の開始時刻だけ。

順番が来るまでは本館(ホールのある館)の3階にあるレッスン室で練習ができます。これ、受付したあとしれーっと早い者順なんですが、他の受験生とお互い助け合いました。

そして注意するべきことですが、順番が来ても基本的に誰も呼びに来ません。この時点で一人あたりどのくらいの時間弾くのか分かっていないので様子見と感覚による賭けです。僕は予想よりもだいぶ早く出番が来て、他の受験生が呼びに来てくれました(ありがとう)。

ホールへは後ろの扉から勝手に自分で入っていき(タイミングがわからない)、ステージまでの道のりを歩き(長い)、お辞儀、、、をしているタイミングで2階席に座っている審査員の先生方から「now start from Bach」と声がかかり(ヘンテコなお辞儀が完成する)、ようやく演奏開始です。演奏前にこれだけ「これでいいの????」に溢れて行動しなければいけないので、とてつもなく緊張しました。

そう、演奏する曲や楽章は2階席の先生方から指示されるのですが、ノーマイクだし、止めるときもベルとか拍手とかではなく普通に喋りかけてきます。遠いのでよくわからんのですこれ(切実)。

会場には他に人はいないのかというと、そうではなく、1階席には他の受験生や在校生(と思われる)なんかがちらほらいたりします。僕も自分の演奏が終わったあとは他の人の演奏を聴いていました。

一通り受験生の演奏が終わると、ホールの向かいにある部屋に先生方が集まります。おそらくこのとき合否を話し合っているんだと思うのですが、この待ち時間が、とっても嫌でしたね、、、 周りに日本人もたくさんいたんですが、どこか上の空で談笑をするんです。気持ち悪いですよ、あれ笑

30-40分くらいで先生方が気ままなタイミングで部屋から出て、自分の生徒に「Congregation」とかって握手をしに行ったりするんです。しばらくすると僕も自分の先生が出てきておめでとうと言っていただけました!! 日本のコンクールみたいな「張り出しますよ!ばーーーん!!」みたいなのではなくじわじわ合否が分かっていくこの感じ、生々しくて胸がざわつきます。

一応、その後紙っペラ(受付時の名簿)にOK(合格)とかND(NonDegreeでの合格)とか☓とか書かれたものが一枚出てきて、正式に実技の合否発表となるのでした。

ここで合格した人は数日後の筆記試験に進みます。

それはこちらの記事で。

リスト音楽院受験譚〜筆記試験編〜

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どうでもいいことで、終わってから別の受験生に言われて気づいたんですが、結果的にmollばっかりのプログラムになってたんですよね笑

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リスト音楽院受験シリーズ

第1回『全体の流れ編』

第2回『実技試験編』←now

第3回『筆記試験編』

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